第4節 高山村の地勢と災害要因、災害記録

第1 自然的条件

1 地 勢

高山村は、長野県の北部東端に位置し、東は破風岳、御飯岳、黒湯山、万座山、白根山及び横手山をもって群馬県と接し、南は破風岳、奈良山、明覚山をもって須坂市と接し、北は横手山、笠岳、三沢山及び雁田山をもって小布施町、中野市、山ノ内町と接している。

総面積は98.5㎞2、そのうち85%が山林原野であり、地形は極めて複雑急峻である。

村のほぼ中央を流れる松川は、白根山と横手山の中間、池の塔から発源し、各支流を合わせて西流し、千曲川にそそいでいる。これらの河川は山間地を走るため、いたる所で急流河川を形成し、流域は河川の浸食作用により深い断崖をなしている。また、南部には紫称萩山に源を発する八木沢川が、千曲川にそそいでいる。

この2河川により形成された、やや急傾斜の表面をもった扇状地が東西に広がっていて、集落や耕地はこの上に点在している。

2 位 置

  所  在  地 北 緯 東 経 海 抜
高山村役場 上高井郡高山村大字高井4972番地 36°40′ 138°21′ 550m

3 気 候

高山村の気候は、典型的な内陸性気候である。年平均気温は11.8℃と比較的冷涼で、年平均降水量は1,000㎜前後である。降雪量は、集落部では40㎝以上、山間部では2mを超すこともあるため、特別豪雪地帯に指定されている。春の訪れは遅く、4・5月頃には晩霜にみまわれる自然条件にある。

4 自然条件にみる災害の要因

(1) 地震災害の可能性

本編第5節「地震被害想定」で詳述する。

(2) 多数の土砂災害危険箇所の存在

村内の各河川は、複雑で急峻な山間地を走っていることから、多くの土石流危険渓流(資料9-2)が存在する。

このほか、村内には、急傾斜地崩壊危険箇所(資料9-3)や地すべり危険箇所(資料9-4)等の土砂災害危険箇所も多数存在しており、集中豪雨等の際には、周辺集落等での被害が懸念される。

(3) 前線の影響による豪雨

梅雨期や秋雨期には前線が本州付近に停滞し、台風や低気圧の通過により南方の著しく湿った空気を運び込んで高山村にも大雨を降らせることがあり、村内各河川の氾濫、崖崩れ等の災害の発生がみられるので、厳重な警戒が必要である。

(4) 台風の進路による影響

県下に影響を及ぼす台風は、経路により、次の5つに大別することができる。

① 中央部縦断コース

県内を南北に縦断する最悪のコースで、全県的に大雨と強風の被害が予想される。村域では、各河川の増水、崖崩れ等の警戒が必要である。

② 西側北上コース

県に接近して西側を北上するコースで、全県が暴風・大雨域に入り、風水害が発生する。村域への影響は、主として風による被害が多く発生する。

③ 東側北上コース

県の東側を北上するコースで、台風の吹き返しによる強風の被害が大きくなる。村域は、大雨が予想され、北よりの暴風雨が吹きつのり、風水害が発生する。このため各河川の増水、崖崩れ等の警戒が必要である。

④ 南側東進コース

太平洋側を東に進むコースで、典型的な雨台風となる。伊那谷や木曽谷、佐久地方などを中心に一様に大雨となる。

⑤ 対馬海峡から日本海中部を北東進コース

全般に雨量は少ないが、北部の山沿いで強風となり、北アルプス一帯では強い風、雨となるので注意が必要となる。

県下に影響を及ぼす台風のコース

(5) 山林火災

林野面積が広大なことから、高山村では過去にも山林火災を経験しており、今後も発生が予想される。特に、春の山菜採りの時期の火災には注意を要する。

(6) 高冷地帯

山間部では、高冷のため、農産物の低温障害及び凍霜障害等による被害が発生しやすい。また、冬期には、多雪のため除雪は大きな課題である。住民の協力により、効果的な除雪を図るべく、一層の意識高揚を促す必要がある。

第2 社会的条件

1 人口、集落

高山村の人口は、令和3年1月1日現在6,857人(住民基本台帳による。以下同じ。)で、近年は全国的傾向と同様に減少傾向にある。階層別人口の推移をみると、65歳以上の高齢者人口の割合は、平成18年23.7%、平成23年26.3%、平成28年31.5%、令和3年34.9%と上昇する一方、0歳から14歳までの年少人口の割合は、平成18年13.9%、平成23年13.0%、平成28年12.0%、令和3年には10.6%と減少しており、少子高齢化が顕著に表われている。

世帯数については、老人保健施設の開設等により増加傾向にあり、令和3年には2,456世帯となっている。一世帯当たりの平均人員は、平成18年3.4人、平成23年3.2人、平成28年3.0人、令和3年2.9人と推移しており、さらに小家族化傾向が進んでいる。

2 産業及び産業構造

本村の産業構造は、農業を基幹として、サービス業、建設業、製造業等が主産業となっている。農業はりんご、ぶどう等の果樹栽培が主体である。

産業別人口をみると、第1次産業の減少率が高く、第3次産業への流出が著しくなっている。こうした状況は、昼間の人口の減少、高齢化にもつながり、防災上重要な問題となるため、村の産業の活性化が課題である。

3 交 通

本村には、主要地方道須坂中野線をはじめとして6路線の県道が走り、これらを骨格として多くの村道がある。県道は主要な生活路線であるとともに、地域経済の基幹をなしていることから、これらの拡幅改良に併せ、未開通の箇所についての開設が必要となってきている。

村道は、主要路線である1・2級道路を主体に改良・舗装を行ってきたことから、この改良率・舗装率ともに上がっている。今後は、引き続き1・2級の主要道路の整備に併せ、その他道路の整備により村内の道路網の充実を図る。

4 社会的条件にみる災害の要因

(1) 昼間人口の減少

高齢化の進展による要配慮者の増加、生活圏の広域化による昼間の留守家庭の増加は災害を大きくする要因である。加えて、消防団員の確保難も懸念材料となる。日ごろから自主防災組織の重要性に鑑み、地域に設置した防災委員を通じ、地域住民の防火、防災意識の高揚と啓発を図る必要がある。

また、山田牧場や信州高山温泉郷等、多くの観光客が訪れる地域では、観光客に配慮した防災体制の確立も重要である。

(2) 危険地帯の住居

村内には孤立予想地区が8地区あるが、このうち、温泉、五色温泉、七味温泉、牧場の4地区は、他の地区との連絡道路が一つしかないため、土砂崩れや橋の決壊等により通行不能になると、孤立化は免れない。さらには、付近に急傾斜地崩壊箇所や地すべり危険箇所等の災害危険箇所が存在するため、特に被災しやすい状態におかれている。

(3) 森林の荒廃

森林組合を中心として森林造成を行うとともに、県により治山工事が行われているが、林業家は年々減少し、担い手の高齢化も進んでいる。森林の荒廃は保水能力を低下させ、地盤を脆弱にするため、水害や土砂崩れ等の誘因となる。

第3 過去の主な災害記録

本村の過去の災害履歴については、資料8-1に掲げるとおりである。