長野市松代町出身の幕末の思想家佐久間象山(1811−1864)が揮毫した大幟である。安政元年(1854)、吉田松陰密航事件に連座し、文久2年(1862)まで9年間、松代で蟄居させられていたが、この間の1860年に揮毫したものである。しかし、罪人となった象山の書いた幟を掲げることは咎められる恐れありとして、長い間土蔵にしまい込まれていた。
そのため、傷や汚れが少なく保存状態が良い。象山のように卓越した学識や人格の持ち主に幟の揮毫を依頼し、奉納することで、敬神の心を結束させた。今につながる当時の民衆の信仰心を知るうえで貴重な資料である。